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まだよく分かっていないが、エネルギー制御との関連が明らかにされれば、分子機械とも呼ぶことができる新たなエネルギーデバイスの設計も可能となろう。
(5) 自己組織化システム
拡散−反応系は、散逸構造を生み出し、一定のエネルギーフローによって安定な状態が維持される。拡散−反応系のダイナミクスは、ハイパーサイクルのダイナミクスと似た性質を持つ。図5−4に示すような、振動するサイクルが閉じた関係を持つとしよう。この時、各サイクルの角速度が、隣り合うサイクルの角速度の差に比例した量だけ影響を受けるとすると、全体をなすハイパーサイクルの角速度(φ)は、拡散・反応ダイナミクスと同じ方程式に従うことが示される。このように、サイクルが閉じたシステムは、一種のリサイクルシステムと理解することができる。地球環境問題の認識が高まるにつれて、資源のリサイクル化が課題となっているが、閉じたリサイクルシステムが実現するのであれば、自己組織化システムの持つ、進化的で、全体との共生を高いエネルギー消費効率で維持する、積極的で意味のあるリサイクル社会が実現するかもしれない。

 

 

 

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